讃岐弁一覧 | 香川出身の私が標準語だと思っていた方言も紹介

ヨス

執筆者

香川県丸亀市在住。香川で生まれ、育ったブロガー。2013年に始めたブログ「ヨッセンス」は月に100万回読まれるブログに。香川県の楽しいところ、美味しいものを紹介します。著書『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』『読まれる・稼げる ブログ術大全』。

こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。

わたしは香川県生まれ、香川県育ちなので、日常では方言である讃岐弁(香川弁)を使います。

ときどき「讃岐弁は汚い」のように言われますが、そこまで汚くはありません(……と思います)。

では今回は「讃岐弁」に焦点を当て、わたしが「共通語」だと勘違いしていたものを紹介します。さらには讃岐弁の一覧も紹介していますよ。

1976年生まれのわたしが使っていた方言なので、若い人は使わないものが多いはずです。

「共通語(標準語)」だと思っていた讃岐弁

わたしは、日常生活で讃岐弁を使っています。

18歳で大阪に行ったときにこんな経験をしました。

共通語だと思って、その言葉を使ったら方言だった!!

まずは、香川県民のわたしが実際に標準語だと思って使ったことのある讃岐弁を10個紹介します。

【讃岐弁】お腹がおきる

まず紹介する讃岐弁は「お腹がおきる」です。

意味

お腹がいっぱいになる

これが香川県だけの方言だなんて、大阪に行ってはじめて知りました。

友達とレストランに行って、「ああ~! お腹起きたわー!」と言うと、当然ながら「なにそれ?」という反応に。

「お腹が起きる」ってなんか妖怪みたいやな(笑)。

「お腹がおきる」を実際に漢字で書いたことないのですが、たぶん「お腹が起きる」でしょうね。

ほとんどの香川県民はこれを共通語だと思っているはず!?

【讃岐弁】ほっこ

続いて、わたしが子どものころ頻繁に使っていた言葉「ほっこ」です。

意味

アホ、バカ

そう!「ほっこ」は「アホ」とか「バカ」と同じく罵倒する言葉です。

強めて「くそほっこ」もよく使っていました。

関西では「アホ」、関東では「バカ」がよく使われるようですが、わたしが子どものころは「ほっこ」をよく使ってました。

【讃岐弁】なんちゃ~ない

そして、「なんちゃ〜ない」という表現。これは今でもよく使っています。

意味

ぜんぜん~ない

たとえば、こんなふうに使いますね。

このお店、品ぞろえ悪すぎや。なんちゃないなー

20代のとき大阪の友達に「このマンガなんちゃおもしろくない」と言ったところ「え? 今『んちゃ』って言うた? アラレちゃん?」とツッコまれました。

ちなみに「なんちゃおもっしょないわ(ぜんぜん面白くない)」が本来の讃岐弁での表現です。

【讃岐弁】むつごい

そして、「むつごい」という讃岐弁です。

意味

後味が悪い、くどい

和菓子をお茶なしで食べた後なんかに、「むつごいわー」のように使います。

くどい顔の人に「あの人むつごい顔しとる」と使うこともありますよ。

【讃岐弁】ちみきる

そして、「ちみきる」という讃岐弁。なかなかパンチがある音ではないでしょうか。

意味

(腕などを)つねる

「ちみきる」は、完全に共通語だと思っていました。

わたしは「つねられた」と言われても、なんか物足りません。

やっぱり「ちみきられた」と言われないと、「わ! 痛そうっ」って思えないんですよねー。

わたしにとって「つねる」は本やテレビの中でしか聞いたことのない言葉だからです。

この「ちみきる」って痛そうな音声じゃないですか(笑)? 個人的には気に入っています。

【讃岐弁】はじかい

はじかい」という讃岐弁です。

意味

のどがかゆい、のどがイガイガする

わたしの経験では「喉がはじかい」以外、使いません。

蚊に刺されたときは「かゆい」って言いますし。

のどを取り出してボリボリとかきたいレベルのときに、わたしは「のどがはじかい」を使わないとどうしてもしっくりきません。

わたしの中では「のどがかゆい」とか「イガイガする」なんて言葉では言い表せないんですよ!

なので、この「はじかい」に対応する共通語はない気がしますね(笑)。

【讃岐弁】手袋を履く

そして「手袋を履く」という表現もあります。

たぶん、説明をしなくても通じると思いますが、手袋をはめることです。

意味

手袋をはめる

伝わるとは思いますが、こんなふうに思われるかもしれませんね。

この人の手は手に見えるけど、前足なんやな……。

この表現は、北海道でも使うという話も聞いたことがあります。

でもなんで香川と北海道だけ? もしかするとほかの地域でも使うのかもしれませんね。

【讃岐弁】立てる

お次は「立てる」です。

「え? 普通の言葉では?」と思われるかもしれません。ところが違うのです。

香川県で使われる「立てる」は、なんと自動詞で「立つ」とまったく同じ意味です。

意味

立つ(立ち上がる)

たとえば、香川県の学校ではこんなやりとりが普通にあります。

先生、立てってもいいですか

今は立てらないでください!

活用で言うと、「立てらない」「立てりなさい」「立てる」「立てれ!」「立てろう」です。表にしてみますね。

【讃岐弁】
自動詞
「立てる」
ここで立てらないでください。
皆さん、立てりましょう!
ここで立てるのだ。
こんな場所では立てれないよ。
みんな立てろう!
【共通語】
他動詞
「立てる」
棒を立てないでください。
棒を立てましょう!
ここに棒を立てるのだ。
こんな場所に立てられないよ。
ここに棒を立てよう
【共通語】
自動詞
「立つ」
ここで立たないでください。
皆さん、立ちましょう!
ここで立つのだ。
こんな場所では立てないよ。
みんな立とう!
讃岐弁「立てる」の比較

ほら、共通語の「立てる」と活用が違うのです。

え? わかりにくい?

とにかく、普通の共通語で使う「立てる」は他動詞としか使えないのに、讃岐弁では自動詞としても使われるというわけです。

これは本当に99%の香川県民が気づいていない気がします。

その理由に香川県の公共機関などの注意書きでも「ここでは立てらないでください」と普通に使われていますよ。

県外の人が香川に来た際には注意して見てみてください!

【讃岐弁】はがい

そして、「はがい」という讃岐弁があります。

意味

腹が立つ

「腹が立つ」「ムカつく」ことを「はがい」と言います。

たぶん「歯がゆい」から来ているんだと思いますよ!

アタマに来て、興奮して「はがー!!」って言うふうによく使いますが、客観的に聞くと、音声的にかなり滑稽ですね。

でも本気で腹が立っている時に言いますので「ガハハ!!」と大笑いしてはいけません。

【讃岐弁】じゅじゅむ

そして「じゅじゅむ」という表現です。

意味

にじむ

これはすごく使用頻度が低いのですが「にじむ」という意味です。

たとえば「わ! インクがじゅじゅんできた!」という感じで使います。

でも「じゅ」っていう音声が「ジュワー」っと染みわたる雰囲気が醸しだされていていい感じじゃないですか?

讃岐弁一覧(随時追加)

最後に讃岐弁の一覧でまとめます。思い浮かんだら随時追加しますね。

讃岐弁と言っていますが、わたしの育った中讃地域の方言が多めです。香川以外でも使われているものもあります。

名詞

意味
あげもん天ぷら
うったて習字の書きはじめ
おとっちゃま臆病者
おまはんあなた、お前さん
がぶろ髪がボサボサの人
こんこ漬物
くやく文句
じびしこ(※だれか教えてください。亡くなった祖母がなにかの雑草をこう呼んでいました)
だれかしゃんだれか
ぴっぴ(赤ちゃん語)うどん
ぶに分(ぶん)、運
べこビリ(最後の人)
ほっこあほ、ばか
まっつい(まっつくつい)うりふたつ
めぼつものもらい
わるそいたずら、悪いことをする子ども

形容詞

意味
えらいしんどい、苦しい
おとろしいおそろしい
おもっしょいおもしろい
けっこい美しい、きれいな
こそばいくすぐったい
こわい固い
こんまい小さい
すい酸っぱい
はがい腹が立つ
はじかい喉がかゆい、喉がイガイガする
ふがわるいみっともない
へらこいずるい
むつごいあと味が悪い、くどい
めんどい難しい
やぎろしいうるさい

形容動詞

意味
うまげな立派な、いい感じである、かっこいい
うれしげな生意気な
がいな強そうな、性格が荒ぶった
ぎょうさんげなおおげさな
ごじゃ/ごじゃはげめちゃくちゃな、でたらめな
ざまくげな/ざまっけな汚らしい、
さら(例:この本、さらやな)新品の
しょうたれげなだらしない
ぞろな/ぞろげなだらしない、整理ができていない
たぎな/たいぎなめんどうくさい
にんぎゃかなにぎやかな
ほっこげなバカバカしい
りくつげなえらそうな

動詞

意味
あずる手こずる、困る
いがむ歪む
いごく動く
いぬ帰る
いらう触る、いじる
えぞるなぞる
おらぶ叫ぶ、怒鳴る
おっかれる/おんかれる怒られる
(〜を)かく〜を運ぶ
(〜を)かやす〜をひっくり返す
くっつぉぐくつろぐ
こらえる(例:そんなこと言うとったら、こらえんぞ)許す
 こらっしゃげる/くらっしゃげる懲らしめる
さえあがる/さいあがる調子に乗る
さらえる(例:全部さらえとって)平らげる
しけるしらける
せらうねたむ
せる(例:あの店せっとるわ)混んでいる
立てる(自分が)立つ
たる(例:この遊びたったわ)飽きる
(〜を)てがう(例:赤ちゃんをてがう)あやす、めんどうを見る
じゅじゅむ(インクなどが)にじむ
(〜を)ちみきるつねる
どくれるすねる
のくどく
(〜を)はりまわす〜をシバく
ぶる(例:雨がぶっりょる)漏れる
(〜を)へねしる〜をつねる
(〜を)放る〜を捨てる
まがる邪魔になる
まけるこぼれる、(毒のある植物などで)手がかぶれる
(〜を)めぐ〜を壊す
めげる壊れる
やむ(例:海苔がやんどる)湿気る
よもよもするのろのろする

副詞

意味
いかさまとても
ちょっきしちょうどぴったり
ちょっとこば少し
まんで(まんでがん)全部
よっけたくさん

フレーズ

意味
あじが悪い気持ち悪い
いかん(関西弁の「あかん」)だめ
いた(例:このパンいた)〜をください
うちんくわが家、私の家
おごっつぉごちそうさま
おなかがおきるおなかがいっぱいになる
かまんいいよ
〜きん/〜けん(例:暑いきん、日陰に行こうで)〜だから
〜しもって(例:歩きもってスマホ触ったらいかん)〜しながら
しよい(例:だいぶ涼しくなってきたきん、しよいな)過ごしやすい
しゃんしゃんしまい早くしろ
じょんならんどうしようもない
そななん(例:そななん知らんわ)そんなこと
だれっちゃおらんだれもいない
つか(例:このトマトつか)〜をください
手袋を履く手袋をはめる
なんちゃ〜ないなにも〜ない
なんがでっきょん?最近、調子はどう?
なんしんじゃろかで(ほめられたときに謙遜して)いや、そんなことないですよ
ほんだらじゃあ
〜まい(例:食べまい)〜しなさい
目が薄い目が悪い
目がかたい目が冴えている
〜やかし(例:私やかし)〜なんて
わがれんしまい自分でしろ

文法

讃岐弁には文法にも特徴があって、「〜している」という言葉を2つの意味で分けています。

詳しくは「〜しよる・〜しとるの違い」をご覧ください。

まとめ

それにしても、なんで方言が出てしまうと恥ずかしいって思ってしまうんでしょうね。

よくよく考えると別に恥ずかしくないのに。

ただ、大阪弁がメディアで普通に聞こえてくるようになったお陰で、みんな、多少は方言を出すのに抵抗感がなくなってきているのではと思っています。

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