[香川の言葉]2つの意味の「電車が来ている」を使い分ける方言!?

ヨス

執筆者

香川県丸亀市在住。香川で生まれ、育ったブロガー。2013年に始めたブログ「ヨッセンス」は月に100万回読まれるブログに。香川県の楽しいところ、美味しいものを紹介します。著書『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』『読まれる・稼げる ブログ術大全』。

こんにちは! ヨス(プロフィールはこちら)です。

今回は香川県おもしろい方言について紹介します(実際には中国~四国地方、九州の一部)の方言です。

それは「~しています」の表現についてです。

讃岐弁では「〜している」を表現するときに2種類を使い分けているんです!

2種類の「〜している」とは?

2種類の「〜している」とはどういう意味でしょうか?

たとえば「電車が来ている」と言ったとき、日本語には2つの意味があります

  • 電車が(こちらに向かって今まさに)来ている
  • 電車が(すでにホームに)来ている

の2つですよね。

でも英語だとこの2つはまったく違う表現になります。

  • The bus is coming.
  • The bus has come.

「現在進行形」と「現在完了形(結果)」です。

そうです。日本人が「現在完了形」でつまるのは区別していないからなんですねー。

中国・四国地方の方言だと2つの区別がある

ところが、中国地方~四国地方(+九州地方の一部)の方言ではこの区別を明確にしているんです。

以下の2つを、もうすこし詳しく紹介しますね。

現在進行形

たとえば、電車に乗るために駅に行くとしましょう。

ホームに着いたとき、こちらに電車が向かってきているのが見えました。

そういうときに「電車が来よる!!(= 電車が来ている)」と言います。

これは進行しているところを表現していて、英語で言うと「The train is coming.」ですね。

現在完了形(結果)

たとえば、電車に乗ろうとホームに向かって走っています。

そしてホームのほうを見ると、電車がすでに停まっているではありませんか。

そこでこう言います。「電車が来とる!!(= 電車が来ている)」と。

これは結果を表現しているので、英語だと「The train has come.」です。

というわけで中国・四国地方では進行形と現在完了形の区別があったんですねー。

ほかの動詞の例も紹介

ほかの動詞の活用も紹介しておきます。

現在進行形現在完了形
雨が降っりょる雨が降っとる
プールで泳っぎょるプールで泳いどる
子分を殴っりょる子分を殴っとる
温泉に入っりょる温泉に入っとる
服を着よる服を着とる
寝よる寝とる
シシャモを食べよるシシャモを食べとる
方言による「~している」の2つの表現

活用が難しいかもしれませんね。

現在進行形のほうは、地域や人によっては次のように活用する場合もあります。

現在進行形の活用バリエーション

  1. 降っりょる
  2. 降っじょる
  3. 降りよる

わたしのまわりでは「降っりょる」を使う人が多いのですが、もともとは「降りよる」がなまったのだと思います。

そして「降っりょる」になって、さらに「降っじょる」に変化したのかなと予想しています。

まとめ

この話は、日本語の先生になるための勉強をしていて、はじめて知りました。

そして、無意識に使い分けていたことに気づきました。

学校で習う日本語も英語も標準語で、文法も標準語で習います。

もし方言で英語を訳していたとしたら、そのときにこの方言の特性に気づいていたかもしれませんね。

物事はほかの人と違うやり方でやると、新しいことを発見できるかもしれないなーと思いました。